労務ぷらんコラム
【就業規則】記事一覧
- 2014.01.19
- とある社労士の就業規則コラムS 8(勤務途中の事故)
- 2014.01.17
- とある社労士の就業規則コラムS 7(通勤途中の事故と通勤手当)
- 2014.01.15
- とある社労士の就業規則コラムS 6(解雇)
- 2014.01.10
- とある社労士の就業規則コラムS 5(セクハラですって1)
- 2014.01.07
- とある社労士の就業規則コラムS 4(労働条件)
- 2014.01.07
- とある社労士の就業規則コラムS 3(在宅勤務と労働時間)
- 2014.01.06
- とある社労士の就業規則コラムS 2(在宅勤務)
- 2014.01.06
- とある社労士の就業規則コラムS 1(管理者)
- 2013.12.24
- とある社労士の就業規則コラムⅡ (着替時間)
- 2013.12.20
- とある社労士の就業規則コラムⅡ (家族従事者)
とある社労士の就業規則コラムS 8(勤務途中の事故)
就業規則社労士の井上です!
今回は、通勤から業務途中に事故した場合です。
私有車を業務で使う場合、これも前回の「私有車通勤規程」と併せて「私有車業務使用規定」を作成しておき、事故に備えます。
自動車を使用して仕事をしていた過程での事故は、労災保険(業務災害)が適用になりますが、
同時に車両にかかっている「自動車保険」も使えるため、本人がどちらの保険から給付を受けるかを
「選択」することになります。
補償対象が同一であるため、どちらも重複してもらうことはできません。
では、どんなときにどちらの保険を選択するのがよいでしょうか。
1、まずは自動車保険(自賠責保険)から:
交通事故については「自賠責保険優先」という考え方があります。
これは行政通達であり、法的な拘束力はないものですが、
一般的には当該行政通達に倣って自賠責保険を使うことを第一に考えるケースが多いと言えます。
自賠責保険はすべての車両に加入が義務付けられており、補償内容は以下の通りです。
治療費、文書料、休業損害、慰謝料について、合計120万円まで補償
後遺障害・死亡について 75万円~4000万円まで補償
被災者が無過失かつ治療費や休業補償の合計が120万円以内に収まる比較的軽微な事故では、
自動車保険(自賠責保険)の適用を選択することが多いでしょう。
2、労災保険と自動車保険の比較
労災保険を選択する場合、以下のようなメリットがあります。
①被災者に過失があっても負担が発生しない
交通事故では過失割合が問題となりますが、労災保険では過失割合に関係なく治療費が全額保障され、
休業補償についても過失相殺されません。
過失割合について当事者間でトラブルがある場合、労災申請をしたほうが迅速に給付がなされます。
②治療費の限度金額がない
自賠責保険と異なり、労災保険には治療費の限度額がない点で有利です。
②公的保険のため治療費自体が安くなる
自動車保険を利用すると病院では自由診察の扱いとなります。
公的保険である労災保険の診療報酬と比べて、自由診療部分は文字通り自由に治療費が
設定できるため高くなります。
つまり、同じ治療を受けているにも関わらず治療費自体が2倍にも跳ね上がることもあります。
過失割合でトラブルになっている場合や、相手方が自賠責保険のみにしか加入していない場合などは、
労災保険のメリットを選択したほうがよいでしょう。
労務プランニング オフィスINOUE
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とある社労士の就業規則コラムS 7(通勤途中の事故と通勤手当)
就業規則社労士の井上です!
今、複数の会社で通勤手当の内容の決定と「私有車通勤規程」の作成しております。
事故があってからの相談もありましたが、通勤途上や業務上で事故がある前に、
どうしたらよいのかを決めておく必要がありますね。
また、過去に通勤経路を知らない会社もありました。
この辺も、しっかり押さえておくべき事項でしょう!
ですから、通勤手当の支給額決定のため、通勤の経路を報告させていることがあります。
その報告を受けた経路と違うルートで通勤を行っている最中に交通事故などにあってしまった場合は、
労災保険(通勤災害)の適用がされるかというと、
それが「合理的な経路及び方法」であるなら適用されます。
逆に言うと、特段に合理的な理由もなく大きく遠回りする場合、
無免許運転をする場合などは「合理的な経路及び方法」と認められず、
通勤災害の適用範囲から外れてしまうことがあります。
通勤災害の適用の如何は最終的には労働基準監督署の判断によるので、事実のまま申請をしましょう。
一方で、本件は「虚偽の通勤ルート報告をしていた」ことについて
社内処分の観点で検討をしなければなりません。
多いケースでは、会社には電車での通勤申請をし、
定期代を請求しているが、実際は自転車やバイクで通勤することがあげられます。
このようなことを通勤手当の水増し請求、架空請求ともいいます。
これらの通勤手当の水増し、架空請求は、虚偽の申請として服務規定違反といえます。
会社としては、そのような行為が発見された場合は、
処分が下るような服務事項・懲戒処分項目を規定しておくことが必要になります。
またこのような通勤ルート虚偽申告などの服務規律違反を未然に予防するために
・通勤手当の支給申請には領収書や定期券の写しを提出させるようにしましょう。
・車やバイクでの通勤の場合は、免許証のほか、
自賠責保険ならびに任意の自動車損害補償保険の加入証書などの写しを提出させましょう。
まとめると、通勤ルートを正しく申告させる意義とは
① 万が一通勤災害として認定されないことを防ぐため
② 通勤手当の架空申請などの不正を防ぐため
であることに留意してください。
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムS 6(解雇)
就業規則社労士の井上です!
解雇とは、会社側から一方的に雇用契約を解除する行為ですが、
その解雇には普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類があります。
【普通解雇】
普通解雇とは、従業員が勤務するにあたって、会社側と約束したこと(能力や勤務態度など)が実行できなかったことを理由する解雇です。
例えばパソコンを使用して仕事を行う場合、パソコンの使い方がわからなければ仕事になりません。
その意味では「パソコンを一定程度使えるという能力」が足りなかったことになります。
しかし、パソコンの操作方法がわからないからといって、即座に解雇することは難しいでしょう。
まずはパソコンの操作方法を教え、操作が出来るように指導する必要があります。
解雇に対するハードルが高い日本においては、「根気よく何か月も指導したが、
全く操作を覚えない」というような前提を踏まえていなければ解雇は認められないと思ってください。
【整理解雇】
整理解雇とは、経営状況悪化のために、従業員を減らすことを目的とする会社都合の解雇です。
整理解雇が認められるためには。4つの要件が必要となります。
①本当に人員削減が必要か
どうしてもリストラを行わなければならない理由が必要となります。
②解雇を避けるために努力をしたか
解雇は最終手段です。整理解雇を行う前に会社は次のような努力をしなければなりません。役員報酬の削減、希望退職者の募集、新規採用の抑制、配置転換や出向等です。
③解雇をする従業員の選定は合理的か
人事権のある人物が、個人的感情で選定してはいけません。勤務態度や営業成績等の客観的な判断基準が必要です。
④整理解雇までの手続きは妥当なものか
整理解雇の対象となる従業員へ整理解雇の理由を説明したか、十分に話し合いを行って納得を得る努力をおこなったかが大切になります。
【懲戒解雇】
従業員の責めに帰すべき理由による解雇です。
懲戒処分は主に従業員の非行・悪事・失敗に対して、その重大さによって、
軽いものから譴責(厳重注意)、減給、出勤停止、降格、諭旨退職、懲戒解雇に分けられます。
懲戒処分を行うためには、就業規則の定めが必要となります。
懲戒解雇でも、30日前までの解雇予告や、解雇予告手当の支払いは必要となりますが、
労働基準監督署で除外認定を行う事で即時解雇が可能です。
とある社労士の就業規則コラムS 5(セクハラですって1)
就業規則社労士の井上です!
セクハラ大国、にっぽん!
だそうですよ!
そのセクシャルハラスメント、いわゆるセクハラですが、実は、その境界が極めてあいまいで、正確な答えはありません。
大きく言うと、性的な意味合いを持つ言動を「相手が望まなければ」セクハラとなります。
Aさんに言われたらセクハラだけれども、Bさんなら問題ないというケースも当然の様にあります。
セクハラには2種類あります。
1、 対価型セクハラ
セクハラ被害者が、それを拒否したために解雇、降格、減給といった不利益を受けること。
2、 環境型セクハラ
セクハラ被害者の就業環境が不快なものとなり、仕事に支障が出ること。
セクハラというと、男性が加害者、女性が被害者というイメージですが、
実際はどちらが加害者であってもセクハラとなります。
男性が女性の言動を不快に思えばセクハラになります。年上の女性が、
若手男性社員の男女交際関係をしつこく聞き、男性側が不快に思えばそれもセクハラでしょう。
その他、「髪の毛切った?」「最近太った?」「女のくせに」「男のくせに」「キレイだね」などの言葉も、
受けて手の気持ちによってセクハラになりえます。
セクハラの責任はどこにあるか
会社には、「従業員が働きやすい環境を維持する義務」があります。
セクハラの発生を知りながらそれを放置する行為があるとすればそこには会社の責任を追及される可能性があります。
セクハラについての職場環境整備の具体的方法としては、例えば相談窓口の設置があります。
セクハラの受け手が正直に事実を相談できる仕組みを備えた相談窓口にすることで、
実態確認とセクハラ発生予防に努める姿勢が企業には求められています。
さて、話は変わって、最近では、「同性間のセクハラ」というものが、やや問題になりつつあります。
その話は、次回のコラムにて!
セクハラはやめておけ!
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムS 4(労働条件)
就業規則社労士、井上です!
さて、雇入れた時の労働条件は、常に同じでなければならないのでしょうか?
もし、そうだとすれば経営者は人を雇うことが出来なくなりますよね?
しかし、安易に変えることも出来ません。労働者は生活が懸かっていますから!
では、どうなのか?
勤務時間や賃金などの労働条件について、いったん決定し合意した労働条件を会社が
一方的に変更することはできませんが、社員の同意があれば変更することはできます。
特に賃金や休日休暇などの条件を「引き下げる」場合は、変更は慎重に行わなければなりません。
一方的に書面交付をして、押印を迫るような乱暴な同意の取り方をすると
後々トラブルになってしまいますので、冷静に話し合いの場を持ちましょう。
【労働契約書の変更した条件で合意が得られた場合】
新しい条件の契約書を必ず結びましょう。
何らかの理由で条件を下げる場合は、必ず「合意」の証明として、
新しい条件を記載した労働契約書を作成しましょう。
【就業規則との関係】
労働条件変更の内容によっては、就業規則との兼ね合いから意味をなさない場合があります。
個別に交わした労働契約書の内容が就業規則に定めてある条件に満たない場合、
その部分については無効となり、就業規則に定める内容で契約をしたものとみなされます。
就業規則に定めてある規定の
・対象者はだれか(適用範囲)
・内容は労働契約書と矛盾しないか
・就業規則は現状とそぐわないもののままになっていないか
などを注意してください。条件変更の理由を真摯に説明してください。
労働条件変更は、たとえ社員から(表面的には)合意が得られたとしても、
社員のモチベーション低下にもつながりますから!?
モチベーションの低い会社は、何やってもダメだよ!
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムS 3(在宅勤務と労働時間)
就業規則社労士の井上です。
在宅勤務者の労働時間は把握が困難です。
そのため、会社の所定労働時間を勤務したものとみなす「みなし労働時間制」を活用しましょう。
みなし労働時間制は、就業規則に明記することで適用することが出来ます。
事業場外のみなし労働制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、
かつ、使用者の具体的な指示監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務」です。
在宅勤務者の業務がすべて「労働時間を算定することが困難な業務」とされるわけではないので、
注意が必要です。
みなし労働制の対象となるかの判断基準は、以下の通りです。
①業務が、起居寝食等の私生活を営む自宅で行われていること。
②業務に用いる情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態に置くとされていないこと。
単に回線がつながれていて、情報通信機器から離れることが自由ならば、常時通信可能な状態には当たりません。
③業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
目的や期限等の基本的事項の指示は具体的な指示には含まれません。
また、みなし労働制によってみなすことが出来るのは、労働時間だけです。
在宅勤務者に対しても原則として週1回以上の休日を与えなくてはなりませんし、
1日の労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩を付与する必要があります。
さらに、深夜業を行った場合には割増賃金を支払わなくてはなりません。
みなし労働時間を導入したとしても、労働時間の把握は必要です。
特に残業の取り扱いに関しては、トラブルになりやすいので事前に対策を行いましょう。
みなし労働制を導入する以上、在宅勤務者に残業はないものとし、
業務上の必要が出た場合に限り報告させ、承認したもののみ残業として取り扱います。
在宅勤務についてのルールブックを作成・配布し、個別に雇用契約を結びましょう。
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムS 2(在宅勤務)
就業規則社労士の井上です!
在宅勤務は多様な働き方の選択肢を拡大するものとして注目されています。
在宅勤務が企業や労働者にとって、どのようなメリットとデメリットがあるか紹介します。
【メリット】
・ワークライフバランスの実現
・優秀な人材の確保がしやすい
・必要な人材の退職を防ぎ、新たな社員を教育する手間が解消される
・通勤負荷の解消による効率性・生産性の向上
【デメリット】
・会社の情報漏えいのリスクが高まる
・労働時間の把握が困難
・業務上の指示をタイムリーに出せない
・業務評価が難しい
・自宅での私的行為での事故は労働保険の適用外だが、同じ場所なので区分があいまい
労働者が1つの事業場に勤務している場合は、災害等で事業所が機能しなくなったり、
流行性疾患で外出が制限されたりした場合、業務が停止してしまします。
事業存続性の確保の観点からすると在宅勤務は有効です。
しかし、上記で上げたようなデメリットも存在するので、導入の際はデメリットへの対策が重要となります。
具体的なデメリット対策は、次の通りです。
①対象業務、対象者の範囲を限定する
在宅勤務に向いているのは、以下の職種や仕事です。
・外部の顧客対応が少ない自己完結性の高い仕事
・対面によるコミュニケーションが少ない仕事
・成果の評価を客観的に行いやすい仕事
・自己の裁量で仕事を進められる立場の社員
②情報漏えい対策
会社所有のパソコンを業務専用とする方が安全です。
また、最新のウィルスソフトを装備し、ソフトウェアのダウンロードは承認制としましょう。
③労災保険の適用を意識したルールを作る
・始業就業時刻を記載し業務日報の提出を義務づける
・自宅以外の場所では業務を行わない
この点に気を付けてはいかがでしょうか?
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムS 1(管理者)
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
就業規則社労士の井上です!
さて、この様な質問を受けました。
【Q】
管理職者には割増賃金は不要なのか。
【A】
実態が一般社員と変わらなければ、割増賃金を支払う必要があります。
(解説)
労働基準法第41条で次に該当するものは、
労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないこととされています。
① 農業・水産業に従事する者
② 監督または管理の地位にある者
③ 機密の事務を取り扱う者
④ 監視または断続的労働に従事する者(労働基準監督署長の許可が必要)
つまり、②に該当する管理職者に「割増賃金を支払わない」ということを就業規則で明記しておけば、
時間外労働や休日労働を行わせても、会社は割増賃金を支払う必要はありません。
【監督者・管理者】
そこで、41条に該当する「監督または管理の地位にある者」と認められるかが問題となります。
「監督または管理の地位にある者」とは次の要件を満たすものをさします。
① 労務管理について経営者と一体的な立場にあること
② 出退勤の時間が厳格な制限を受けてないこと
名称ではなく実態で判断します
名称では管理職者であっても、実態は①②に該当しなければ、労働時間等の規定は適用除外となりません。
仮に、就業規則に管理職者に「割増賃金を支給しない」と規定していても、
時間外労働や休日労働を行わせれば、割増賃金の支払いが必要です。
→管理職者に割増賃金を支払わない場合には、相応の手当を支給することが望ましいでしょう。
昇給したら、給料が目減りしたなどという結果を招かないよう、十分な配慮が必要です。
転ばぬ先の……
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムⅡ (着替時間)
ワタクシ、井上正宣は神戸の就業規則社労士です!
先日、営業前の着替えや準備時間、朝礼は労働時間なのかと聞かれました。
御社は、どのように取り扱われていますか?
例えば、始業時刻が9時であれば、早めに出社して制服に着替えるというケースは珍しくありませんが、
その着替え時間について労働時間と見なされれば、時給相当分の支払いをしなければなりません。
裁判例上、着替え等準備時間については以下のような解釈がなされています。
【「三菱重工長崎造船所事件」(最高裁平成12.3.9判決)】
この裁判は、作業服への着替え時間が労働時間に該当するかどうかを争ったものですが、
これによると、
労働時間に該当するかは
「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否か」
により客観的に定まるもので、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより
決定されるべきものではないとしています。
判例によると
「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを
使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、
当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、
当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、
当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、
労働基準法上の労働時間に該当する」と、あります。
この考え方によれば、
① 着替えることが労働の準備にあたる行為で、
② 職場で着替えなければならない状況で、
③ 使用者から義務付けられている場合(従わない場合のペナルティがある場合も含む)
は、労働時間ということになり、その時間の賃金を請求できることになります。
【周辺的行為については当事者間で定めるという考え方もある】
一方で、準備や片づけ、着脱衣などの行為を直接的労働とは分けて考え、
当事者間で労働時間であるか否かを取決めできるという解釈もありますが、
裁判の場では前述したように「客観的な状況がどうであるか」を優先される可能性が高いといえます。
着脱衣や事前掃除などの行為については、
このように労働時間性を主張される可能性があることを意識したうえで、
指揮命令を行うことをお勧めします。
労務プランニング オフィスINOUE
とある社労士の就業規則コラムⅡ (家族従事者)
ワタクシ、神戸の就業規則社労士:井上です。
さて、家族も労働者も混在しているような企業もありますが、
その際の注意点をまとめました。
まず、押さえておくことは、
事業主と同居している家族は、原則として労働基準法の「労働者」にあたりません。
同居家族については雇う、雇われるという関係が認められないはずだということですが、
例外的に「労働者」とみなされることがあります。
具体的には次の条件をすべて満たせば例外的に「労働者」となります。
①同居の親族のほかに一般社員がいること
②就労の実態が、当該事業所における他の労働者と同様であり、
賃金もこれに応じて支払われていること。
③労働時間の管理方法や給与の決定、計算方法が明確に定められており、
他の労働者と同様に管理されていること。
④事業主の指揮命令に従っていることが明らかなこと
なお、別居の親族であれば原則として労働者として取り扱ってもよいですが、
念のため上記の条件の通り労働者性を確認できる状態にしておくほうがよいでしょう。
労災との関係:
労働者であるかないかは、労災保険の適用について問題になります。
労働者でない場合、労災保険は適用されません。
同居の親族の他に一般社員がいたとしても、親族に対して給与や労働時間を特別に扱っていた場合、
労災保険は不支給となる場合があります。
そのため、業務災害が起きる前に、
①例外的に労働者の対象となるよう、上記に挙げた条件を満たすように管理をする
②労災保険の特別加入制度を利用する
③民間の傷害保険に加入するなどの整備を事前にしておくとよいでしょう。
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