労務ぷらんコラム

とある社労士の就業規則コラムⅡ (着替時間)

2013.12.24

ワタクシ、井上正宣は神戸の就業規則社労士です!

先日、営業前の着替えや準備時間、朝礼は労働時間なのかと聞かれました。

 

御社は、どのように取り扱われていますか?

 

例えば、始業時刻が9時であれば、早めに出社して制服に着替えるというケースは珍しくありませんが、

その着替え時間について労働時間と見なされれば、時給相当分の支払いをしなければなりません。

 

裁判例上、着替え等準備時間については以下のような解釈がなされています。

 

【「三菱重工長崎造船所事件」(最高裁平成12.3.9判決)】

この裁判は、作業服への着替え時間が労働時間に該当するかどうかを争ったものですが、

これによると、

労働時間に該当するかは

「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否か」

により客観的に定まるもので、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより

決定されるべきものではないとしています。

 

 

判例によると

「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを

使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、

当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、

当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、

当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、

労働基準法上の労働時間に該当する」と、あります。

この考え方によれば、

 

①  着替えることが労働の準備にあたる行為で、

②  職場で着替えなければならない状況で、

③  使用者から義務付けられている場合(従わない場合のペナルティがある場合も含む)

 

は、労働時間ということになり、その時間の賃金を請求できることになります。

 

【周辺的行為については当事者間で定めるという考え方もある】

一方で、準備や片づけ、着脱衣などの行為を直接的労働とは分けて考え、

当事者間で労働時間であるか否かを取決めできるという解釈もありますが、

裁判の場では前述したように「客観的な状況がどうであるか」を優先される可能性が高いといえます。

着脱衣や事前掃除などの行為については、

このように労働時間性を主張される可能性があることを意識したうえで、

指揮命令を行うことをお勧めします。

 

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