労務ぷらんコラム
とある社労士の就業規則コラムS 3(在宅勤務と労働時間)
就業規則社労士の井上です。
在宅勤務者の労働時間は把握が困難です。
そのため、会社の所定労働時間を勤務したものとみなす「みなし労働時間制」を活用しましょう。
みなし労働時間制は、就業規則に明記することで適用することが出来ます。
事業場外のみなし労働制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、
かつ、使用者の具体的な指示監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務」です。
在宅勤務者の業務がすべて「労働時間を算定することが困難な業務」とされるわけではないので、
注意が必要です。
みなし労働制の対象となるかの判断基準は、以下の通りです。
①業務が、起居寝食等の私生活を営む自宅で行われていること。
②業務に用いる情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態に置くとされていないこと。
単に回線がつながれていて、情報通信機器から離れることが自由ならば、常時通信可能な状態には当たりません。
③業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
目的や期限等の基本的事項の指示は具体的な指示には含まれません。
また、みなし労働制によってみなすことが出来るのは、労働時間だけです。
在宅勤務者に対しても原則として週1回以上の休日を与えなくてはなりませんし、
1日の労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩を付与する必要があります。
さらに、深夜業を行った場合には割増賃金を支払わなくてはなりません。
みなし労働時間を導入したとしても、労働時間の把握は必要です。
特に残業の取り扱いに関しては、トラブルになりやすいので事前に対策を行いましょう。
みなし労働制を導入する以上、在宅勤務者に残業はないものとし、
業務上の必要が出た場合に限り報告させ、承認したもののみ残業として取り扱います。
在宅勤務についてのルールブックを作成・配布し、個別に雇用契約を結びましょう。
労務プランニング オフィスINOUE