労務ぷらんコラム

【就業規則】記事一覧

助成金社労士の奇妙なコラム 超22(労災保険)

2017.01.19

神戸の社労士:井上です!

 

休憩時間、外で過ごす従業員もたくさんいると思います。

そんな時に怪我をしてしまったら労災保険の適用されるのでしょうか。

 

休憩中の外出時について

休憩時間については労働基準法第34条第3項により、労働者が自由に行動することが許されており、その間の個々の行為自体は労働者の私的行為といえます。

そのため、休憩時間中に外出して怪我をしたとしても業務との因果関係が認められず、労災保険給付は受けられないと考えられます。

 

 

退勤後について

では、退勤後についてはどうでしょうか。

退勤後はそれが通勤中とみなされるかがポイントです。

終業後直ちに住居へ向かう場合は問題ありませんが、逸脱・中断の場合、労災保険(通勤災害)の対象とならない可能性があります。

また、通勤と関連のない私的行為については、誰もが行うような「ささいな行為」を除き、

一般には「逸脱・中断」とみなされ、逸脱・中断の時点から通勤として取り扱わないことになります。

ささいな行為とは、経路の近くにある公衆便所を利用する、経路上の店でタバコ、新聞等を購入する等をいい、スーパーで日用品を購入する行為は、

「ささいな行為」とはいえず、通勤行為の中断と判断され、中断後は一切通勤災害とは認められません。

ただし、労災保険法第7条第3項ただし書きにおいて、

(通勤の経路の)「逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りではない」と規定されており、

日用品の購入その他これに準ずる行為はこれに該当することとされていますので、

その後通常の通勤経路に戻った場合には、通勤として取り扱われます。

従業員が事業所の外で怪我をし、労災が適用されるかの判断に迷った場合は、労働基準監督署や社労士に相談するようにしましょう。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超21(不潔やケバイ社員をどうするか?)

2017.01.17

神戸の社労士:井上です!

 

化粧が派手すぎる!(バアァァーン)

服装が華美すぎる!

衣服が整っていない!

清潔感がない!

ヒゲなどを伸ばしっぱなしにしている等

不潔極まりない、いや、身だしなみについて、会社が注意指導できるでしょうか。

 

身だしなみについては、会社は一定の規律を定め、守らせる権限があると解されるでしょう。

ただし、その規律に職務上の合理性がさほどなく、個人の自由を侵害している場合は話が変わってきます。

会社が従業員を絶対的に支配するような指示や命令が許されるわけではないので、

その範囲は「会社の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内」にとどまるべきと言えます。

 

ドレスコード制定

身だしなみについての規律を定める上では、就業規則その他社内規定にドレスコードを規定する方法があります。

髪の毛の明るさの範囲や、ヒゲの許容範囲、衣服の色や履物の範囲、装飾品や刺青など、

望ましい格好の基準を作り、周知してはいかがでしょうか

 

その際に、企業理念や目指すサービスレベルなどを根拠とし、

「このサービスを行うためにはこのようなドレスコードがあったほうが良い」と

従業員が納得できるように工夫しても良いかもしれません。

 

化粧や服装等の身だしなみの問題は、基本的には注意や指導をして改善させるべき問題です。

その際には、業務遂行にどのような支障が生じるのかを説明して指導する必要があります。

ちなみに、男性の上司が女性の(あるいは女性上司が男性の)身だしなみについて指導した場合、

指導をセクハラだと言われることがありますが、職種や業務内容に照らして必要かつ合理的な身だしなみの指導はセクハラではないでしょう。

そもそも、セクハラ云々ではなく、企業理念を軸に相応しい格好であるか否かを論じることができる組織作りをしたいものです。

 

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超19(パートの働きを制限する法律あれこれ)

2017.01.12

神戸の社労士:井上です!

パートタイマー社員が「扶養内で働きたい」ということで、

労働時間を制限し、それに振り回されて企業があります。

あまりよくないことですね。

 

多様な働き方が認められる現在において、正社員以外にもパートタイマーとして活躍する人もたくさんいますが、公的ルールによって働きが制限されることがあります。

それは、「収入が少ないことを根拠に税金や健康保険・年金上の優遇を受けられる」ことに起因します。

 

優遇措置1:税法上の扶養

まず税法上の扶養という措置が挙げられます。

これは所得税に関する基準で、基礎控除38万円、給与所得控除65万円、この2つを合わせると103万円になり、この103万円の枠内でパートタイマーが収入を調整すれば、

配偶者などに「税法上扶養されている」とみなされることになります。

税法上の扶養であれば、配偶者側が扶養控除を受けることができ、当人は所得税が非課税となります。

 

優遇措置2:健康保険上の扶養

次に健康保険上の扶養という措置です。

一般に「130万円の壁」と表現されますが、これは「年収が130万円以下であれば配偶者が加入している健康保険の被扶養者になれること」を指します。

健康保険上の被扶養者となれば、当人の健康保険料は扶養者が加入して居る健康保険の保険料によってまかなわれるためかかりません。

※国民健康保険など、被扶養者概念がない制度もあります。

 

優遇措置3:国民年金の3号被保険者

健康保険上の扶養と同じ収入要件で、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者は国民年金の3号被保険者となることができます。

これは、「国民年金保険料を当人が納付しなくても、保険料をかけたことにしてもらえる」という優遇を言います。

これらの仕組みから、パートタイマーの方は自らの収入を調整しなければならず、有能なパートタイマーの活躍が制限されているとも言えます。

この被扶養者基準について法改正の議論もなされています。

 

人間賛歌は勤労の賛歌!?

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助成金社労士の奇妙なコラム 超18(会社のお金を横領した社員の対応)

2017.01.11

神戸の社労士:井上です!

 

時々、聞きますね。

「会社の金銭を横領した社員がいるようだ」という話を、無論懲戒なのですが、

その手順を考えてみました。

 

現金を取り扱う部署では、従業員の金銭上の不正にも特に注意しなければなりませんね。

また、会社の備品を不正に持ち帰るような行動も取り締まる必要があります。

従業員が現金を横領したり、会社の備品を盗んだりしたことが発覚した場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか。

 

・まずは事実確認

当然ながら、横領や窃盗が事実であるかどうかを確認することが最も優先します。

確たる証拠がない段階で問い詰めた場合、しらを切られ、不正の隠蔽をされてしまう可能性もありますので、しっかりと調査をしてください。

 

証拠が確かに存在する場合は、当人と面談し、不正が事実であることを認めさせる必要があります。

事実を認めさせる方法としては、口頭でなく「顛末書」など書面で行うことが望ましいでしょう。

顛末は「横領・窃盗時期、回数、金額、方法、使途、返済の意思の有無、返済の時期、方法」など、できるだけ詳細に書かせるとよいでしょう。

 

・処分決定

顛末書並びにさらなる周辺事実の調査をした上で、当人に対する処分を決定します。

処分が下るまでの間は、証拠隠蔽などを防ぐため自宅謹慎を命じることも検討してください。

金銭の横領や窃盗は「刑法犯」です。

したがって刑事告訴するかどうかという問題が生じます。

刑事告訴するかどうかは、横領・窃盗した金銭の額や頻度、横領・窃盗した金額の返済の有無などによって判断することとなります。

多くの就業規則には「窃盗や横領」の類の刑法犯は大きく信頼関係を損なう事案であるため、

「懲戒解雇事由」として規定されています

温情で諭旨退職扱いにすることはあっても、秩序維持のため、

原則としては厳しく処分を行うべき事案です。

いずれにせよ、慎重な調査と冷静な判断が必要ですので、

社労士など専門家にも意見を聞きながら処分検討をしてください。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超16(企業と従業員のSNS)

2017.01.10

神戸の社労士:井上です!

 

ブログ、facebook、ツイッターなどSNSが普及し、ネット上にいろいろな書き込みが手軽にできるようになりました。

このことにより

「会社の悪口を書く」「同僚同士のいじめや誹謗中傷が起こる」「会社の秘密情報をばらす」などの新たな労務問題の発生リスクが高まりました。

企業はSNSについてどう対応したらよいでしょうか。

 

ポイントは「企業秩序」:

各人には原則として憲法で保障された言論の自由がありますので、個人的な信条や感情をブログなどで表現することについて会社は制限をする立場にありません。

しかし、社員には集団行動をする上で団体の秩序を守る義務が当然に課せられていると解されるため、

「会社のブランドイメージを壊す」「書き込みの内容が事実に反しており、風評被害を招く」、「機密情報を漏洩する」、「社内不和を招く」恐れがある場合など、「企業秩序を乱す」場合は、

懲戒処分(ペナルティー)の対象とすることが考えられます。

行き過ぎたSNSの使用に対しては、懲戒処分により抑止する方策を考えましょう。

懲戒の対象と考えられる書き込み内容とは、以下のものが挙げられます。

・事実に反するもの

・批判内容が社会的に相当な範囲を逸脱して不穏当な誹謗中傷となるもの

・機密情報を漏洩するもの

・上司・同僚の個人攻撃をしているもの

 

就業規則に根拠条文を追記する:

まず、就業規則に懲戒の根拠となる以下のような規定を整備します。

正当な理由なく、会社の名誉又は信用を損なう行為をしないこと」

「インターネット上に、会社や会社の社員に関する事項を掲載しないこと」

「秘密情報を漏洩しないこと」「

犯罪行為を自慢するような反社会的動画などを掲載しないこと」 など、

できるだけ禁止行為を列挙しておきましょう。

 

内容によっては会社の信用を失墜させたことを理由として、

行為をした社員に対し損害賠償請求をすることも考えられます。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超15(精神的疾患の社員には)

2017.01.06

神戸の社労士:井上です!

 

最近では、いや、ここ10年近く、仕事のストレスなどからうつ病になるような事例が多く見られるようになりました。

精神的疾患により、職場の人間関係が壊れたり、

不定期な欠勤が繰り返されるなどの状況が見られたりする社員への対処法について解説します。

 

労務不能か否か:

例えば内臓の病気のため入院するのと同じように、精神的疾患も病気です。

したがってその対応については、その他の病気と同じように「労務に支障があるものかどうか」を判断して対応します。

主治医の診断で長期の自宅療養や入院が必要であれば、就業規則の休職制度による対応をすることとなります(休職制度がない場合は、欠勤として取り扱いながら主治医の診断書を基にして必要な対応を検討します)。

病気により労務不能であるかどうかは医学的に確認したいところですが、主治医の診断書の内容について、会社から本人を飛び終えて問い合わせることはやめたほうが良いでしょう。

本人の同意を得た上で、診断書の内容について問い合わせをし、場合によっては面談(三者面談が望ましい)により確認を取った上で、今後の対応を検討することが望まれます。

 

本人や周囲の関係者との話し合い:

対応についてはまず、本人と状況について話し合いができるかを検討しましょう。

本人との話し合いが困難な場合は、身元保証人、配偶者、両親などを交えて話し合いを行います。

 

社員は健全に労務を提供する義務がある:

労働契約とは、会社が賃金を支払う代わりに労働者が「健全な状態で労働力を提供する」契約ですから、私傷病により労務が提供できない労働者は債務不履行の状態にあるということができます。

会社は当人が健全な労務提供ができる状態であるか否かを判断し、

無理であれば「休むことに専念して回復しなさい」と休職を命ずる立場であることに注意しましょう。

1%でも不安があれば、復職させないことです。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超14(企業のインフルエンザ対策)

2017.01.06

神戸の社労士:井上です!

さて、鳥インフルエンザが発症していますね。

新型にならなければよいのですが……

 

さて!?

体調不良により急に仕事を休む社員がいると現場に支障をきたしますが、

インフルエンザ等感染する病気にかかった場合など、

他の従業員に伝染しないように無理に出勤させず休ませた方が良いこともあります。

インフルエンザなどで社員を休ませた場合、賃金等の処遇においてはどうすれば良いでしょうか。

 

 

法定伝染病とそれ以外では対応が異なる:

法定伝染病の場合、労働安全衛生規則第61条第1号において「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患にかかった者」については「その就業を禁止しなければならない」と定められています。

言い換えると、会社は病気の拡散を防ぐために病気の社員を出社させてはいけないということです。

<病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患>

結核、梅毒、淋病、トラコーマ、流行性角膜炎

上記に準ずる伝染性疾患(感染症予防法18条)

一類、二類、三類感染症の患者※

※エボラ出血熱、ペスト、鳥インフルエンザなど

これらの病気については、法律で出社させてはいけないと定められているため、当然に給与の支払い義務はありません。

また、会社都合で休ませた時に発生する「休業手当」の支払いも不要となります。

 

インフルエンザは対象外

ところがインフルエンザ等(はしか、風疹、ノロウイルス等)は、感染症予防法の分類上、就業禁止の対象となるべき法定伝染病には該当しませんので、会社ごとに対応方針を決める必要があります

通常は病気が社員へ拡散することを防ぎたいでしょうから、休業を命じることになるでしょう。

その場合会社都合による休業になります。

したがって、最低でも休業手当(平均賃金の60%)の支払いが必要となります。

もっとも、有給休暇を当人が取得して100%給与を受け取る権利もあります。

法定伝染病とそれ以外では就業禁止の根拠及び賃金の支払いの取り扱いが違うので注意が必要ですね。

 

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同一労働同一賃金

2016.12.26

神戸の社労士:井上です。

 

政府は同一労働同一賃金についての、ガイドラインを発表しました。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf

ハマキョウレックス事件など、同一労働同一賃金への関心が高まっているご時世です。

まずは、ガイドラインを確認しましょう。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超12(パワハラとやかましい部下には!?)

2016.12.21

神戸の社労士:井上です!

 

労働者の権利意識の高まりから、パワハラという言葉をよく聞くようになりましたね。

しかし当然ながら部下への指導の全てがパワハラになるわけではありませんし、

パワハラと言われることに過敏になるあまり、

上司が部下に対して何も指導できなくなってしまうことも組織運営上の問題があります。

 

 

厚生労働省においてパワハラは次のように定義されています。

1、 同じ職場で働くものに対して

2、 職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に

3、 業務の適正な範囲を超えて

4、 精神的・身体的苦痛を与える

5、 または職場環境を悪化させる行為

ポイントとなるのは3「業務の適正な範囲を超えて」という箇所でしょう。


業務上必要な範囲とは、

例えば「放置すると重大なクレームを招く行動」

「社会通念上当然に守るべき規律を守らない言動」

「同様の職務にあたっている他の従業員と比べて著しく仕事の手段及び方法が適切でなく、能率が低い業務遂行」

という事実に対してであれば、適正な範囲内と主張できるのではないでしょうか。

ただし、それがあまりに長くの時間にわたる執拗な叱責であったり、暴力を伴うものであったりした場合、4「精神的・身体的苦痛」に該当するとみなされる可能性はあります。

上司としては、できるだけ客観的事実に基づいて冷静に部下の芳しくない行動を指摘し、

改善を促すようにしたいものです。

 

権利を言う前に、義務を果たせ!

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助成金社労士の奇妙なコラム 超11(年末調整)

2016.12.20

神戸の社労士:井上です。

年末というと、忘年会ですが、会社は年末調整ですね。

ちなみに当事務所は代行は致しませんので、よろしくお願いします。

 

 

さて、年末調整とは、そもそも何でしょうか?

会社が従業員の1年間の給与(1月から12月)を基に所得税の額を計算し、毎月の給与から引いていた所得税との過不足精算をすることを言います。

所得税は、給与ではなく所得(収入―必要経費)にかかる税金ですので、従業員の必要経費を把握する必要があります。

年末調整の対象となる人、ならない人は主に以下の通りです。

(1)対象者となる人

・1年間を通じて勤務している人

・年の途中で就職し、年末まで勤務している人

・12月中に給与の支払を受けた後に退職した人

・年の途中の海外転勤等により、日本に住んでいない人

(2)対象とならない人

・1年間の給与収入が2,000万円を超える人

・年の途中で退職した人(死亡や心身の障害による退職者は除く)

・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してない人

・2か所勤務者で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を他の会社に提出している人

 

 

年末調整ができない項目

会社で年末調整を行っていても、以下に該当する人は自身で確定申告をする必要があります

・1つの会社から給与を受けていて給与や退職金以外の所得合計が20万円を超える人

・2つの会社から給与を受けている人

・高額な医療費を払っている人

・寄付をしている人

・住宅ローンを受けた最初の人。

 

〇会社が従業員から集めるべき書類

年末調整を行うためには、主に以下の書類を集める必要があります。

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

②給与所得者の配偶者特別控除申告書

③給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

④給与所得の源泉徴収票(途中入社で前職がある人)

年末調整時の過不足精算を12月給与で行う会社が多いと思います。従業員からの書類は11月中を目途に配布及び収集をし、余裕を持って計算するようにしましょう

 

年末調整は税理士に!?

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