労務ぷらんコラム
とある社労士の就業規則コラムⅢ 4(懲戒解雇)
神戸の就業規則社労士:井上です。
また、懲 戒です。
今回は、懲戒解雇の話になります!!
【重要な経歴詐称は、懲戒解雇の対象】
労務管理上の「重要な経歴詐称」とは、おもに「犯罪歴」と「最終学歴・保有資格の嘘」を言います。
この二つが重要な経歴詐称とされる理由は、それらが応募者などの採用の合否や、
人員配置や処遇の決定に大きくかかわる要因であるためです。
たとえば、採用面接の段階では、個人の能力等についての判断材料が他にないことから、
会社は応募者の最終学歴を知識・技能及び能力確認のための目安のひとつにせざるをえません。
また、信頼第一の会社にとってみれば、犯罪歴がある人を採用すれば、
会社の信頼が大きく揺らぐことにもなりかねませんね。
さらに、経歴詐称は入社後の給与処遇にも影響してきます。
例えば最終学歴をもとに給与を決定する会社の場合、
高卒の人が大卒と偽れば、大卒者に相当する給与を受け取ることができてしまいます。
また、業務に必要な免許資格を持っていないのに、資格保有者として業務を行わせ、
結果事故が発生してしまうと会社の社会的な責任の度合いも大きくなるでしょう。
このように、会社の労務管理上の判断を誤らせるような詐称は、
経営に支障をきたすことになる恐れもあるため、
過去の裁判例では「重要な経歴詐称は懲戒解雇の理由になる」としています。
【具体的な企業秩序違反が生じない場合は注意】
ただし、上記のような具体的な企業秩序違反が生じない詐称の場合
(つまりその詐称がその実際に会社の秩序を大きく乱したとまでは言えない場合)、
単に詐称の事実のみから懲戒解雇することは認められませんので注意してください。
採用し、入社させた従業員を解雇するには、手間も時間もかかります。
それを未然に防ぐため、採用の段階での応募者とのコミュニケーション、
どんな人物なのかの見極めが重要になってくるでしょう。
労務プランニング オフィスINOUE