労務ぷらんコラム
とある社労士の就業規則コラムSS 4(賃金支払)
神戸の就業規則社労士:井上です♪
この様な質問を受けました!
「賃金は口座振り込みでないとイケないのか?」
なるほど、賃金の支払いについては、実は労働基準法に定めれられています。
1つ1つ見ていきましょう!
1、 賃金の定義について
賃金とは、正確にどういった定義がなされているかご存知でしょうか?
通勤手当って賃金になるの?お客様からもらったチップはどうなの?
と言った疑問をお持ちになったことはございませんか?
労働基準法11条では「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、
労働の対償として使用者支払うすべてのものをいう」とされています。
つまり、「労働の対価」として使用者が労働者に支払うもの全てを賃金と呼びます。
また、賃金の支払い方に関しても労働基準法第24条1項および2項で取り決めがされています。
これを賃金支払いの5原則とも呼び、具体的には下記のようになります。
~賃金支払いの5原則~
【1】 通貨払いの原則:賃金は通貨で支払うこと
【2】 直接払いの原則:賃金は直接本人に支払うこと
【3】 全額支払いの原則:賃金はその全額を支払うこと
【4】 毎月1回以上払いの原則:少なくとも毎月1回は賃金を支払うこと
【5】 一定期日払いの原則:賃金は「毎月25日」というように、その支払期日を特定すること
~例外~
ここでお気づきになったかたもいるでしょうが、「【1】通貨払いの原則」は、守られていませんよね?
おそらく、大多数の方が銀行振り込みになっていると思います。
また、旅行積立金など給与から天引きされているとしたら、
「【3】全額支払いの原則」に反してしまいます。
ところが、そのことが労働基準法違反になってしまうかというとそういうわけではございません。
本人の同意を得ることを条件に賃金の銀行振り込みが認められていますし、
労使協定を締結した場合に、旅行積立金などの給天引きが可能となる為です。
そのほか、法令に定めのある所得税、住民税、社会保険料などの天引きも含め、
これらを「賃金支払いの5原則の例外」と呼びます。
2、 使用者には給与明細の発行義務
給与を支払うという行為は、法律上「賃金債務を弁済する」ということになります。
弁済である限り、「そのお金が何に支払ったものか」を明示する必要があるため、
給与明細を発行する必要があるわけです。
また、働いている社員からすれば、合計額を見ただけではどれが基本給で、
どれが手当で、どれが残業代なのかがわかりません。
就業規則や賃金規則のとおりに支払われているか社員がチェックするために、
給与明細が必要になると理解しておいてください。
また、賃金規定に残業代として手当を支払う定めがあるにも関わらず、
給与明細に手当を支払った記載が明示されてない場合、
従業員側から手当が未払いなのではないかと主張されてしまう可能性が出てきます。
残業時間に対して、いくら支払っているかを証明として残すためにも、
給与明細を発行することは必ず行ってください。
労務プランニング オフィスINOUE