労務ぷらんコラム
とある社労士の就業規則コラム 5(絶対記載事項)
ワタクシ、井上正宣は神戸の社労士です!
いきなりですが、とある社員から「就業規則に書いてないから、良いのだ!」とか、言われても困りますよね。
なんでも就業規則に書いていれば対処できるのでしょうが、一体、就業規則には、どのような情報を書かなければならないのでしょうかね。
【就業規則に記載する情報の種類】
就業規則には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の2種類を記載します。
絶対的必要記載事項とは、就業規則に記載が義務づけられている事項、相対的必要記載事項とは、その定めをする場合には記載義務のある事項をいいます。
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<絶対的必要記載事項>
次の事項は、必ず就業規則に記載しなければなりません。
- 始業・終業の時刻、休憩時間、休日・休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
- 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項
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<相対的必要記載事項>
次の定めをする場合には、就業規則に記載しなければなりません。
従って、定めをしない場合は記載する必要がありません。
- 退職手当の定めをする場合は、労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法および支払の時期に関する事項
- 臨時の賃金等・最低賃金額の定めをする場合は、これらに関する事項
- 労働者に食事、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は、これに関する事項
- 安全・衛生に関する定めをする場合は、これに関する事項
- 職業訓練に関する定めをする場合は、これに関する事項
- 災害補償・業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は、これに関する事項
- 表彰・制裁の定めをする場合は、種類及び程度に関する事項
- 当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、これに関する事項
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退職に関する事項(退職年齢など)は絶対的必要記載事項ですが、退職手当(退職金)に関する事項は、その定めがある場合は記載しなければならない相対的必要記載事項です。
従って、退職手当を支給しない場合は、記載する必要はありません。
相対的必要記載事項は、その定めをしない場合は記載する必要はないのです。
【労働条件の明示義務との違い】
これらの「絶対的必要記載事項」「絶対的必要記載事項」の多くは、雇用契約書などの必要期再事項と一致していますが、例外があります。
下記については、個別の労働契約の際には別途定めなければなりません。
- 労働契約期間
- 就業場所(転勤の有無)
- 仕事の内容
以上、就業規則に加えて、雇用契約書についても解説しました。
雇用契約書は、労働条件通知書に変えてもOKですが、この違いは、
・雇用契約書は、労使ともに承認した。あるいは押印した。
・労働条件通知書は、使用者側から一方的に通知した。
という違いがありますので、トラブルを避けるには雇用契約書ですね。
労務プランニング オフィスINOUE