労務ぷらんコラム

就業規則社労士の奇妙なコラム19 (退職前に年次有給休暇を取るのを拒否しても良いのか?)

2015.02.06

神戸の就業規則社労士:井上です。

退職前の社員と言えば、貯まった年次有給休暇をまとめて消費しますよね。

私もしましたよ!エッヘン!

ですが、引継ぎなどあるわけで、やめて欲しいという会社もあるのではないでしょうか?

では、実際、出勤命令はしても良いのでしょうか?

今回は、その辺を考察します。

 

まず、年次有給休暇とは?

 

法定の有給休暇:

労働基準法では、6ヶ月以上、8割以上の出勤率で働いた労働者に対して有給休暇を与えなければならないとされています。

有給休暇の法定付与日数は次の通りです。

有給休暇の法定付与日数は次の通りです。

 

勤続

6ヶ月

1年6ヶ月

2年6ヶ月

3年6ヶ月

4年6ヶ月

5年6ヶ月

6年6ヶ月

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

 

6年6ヶ月以上勤務した社員には毎年20日の有給休暇を与えなければなりません。

有給休暇の請求時効は2年ですから、前の年の未消化分も合わせると最大で40日有給休暇の権利がある社員がいることになります。

有給休暇は退職した後に使うことができないため、辞める社員が余った分を退職前にまとめて取得することがあります。

ところが、会社としては必要な引継ぎをせずに勝手に休まれては困ります。

退職前に有休をまとめて取ることは許されるのでしょうか。

 

退職する社員には時季変更権は使えない:

有給休暇については、社員に「時季指定権=自分の好きなときに取得する権利」があり、

同時に会社に「時季変更権=その時期は会社の運営に支障を来すから別の日に変更する権利」があります。

そのどちらを優先するかはケースバイケースですが、退職する社員に対して

「退職日後に有休をずらしてくれ」と言うことはできません。

 

つまり、退職前にまとめて有休を取ることを会社は拒否できないことになります。


現実的な解決策としては、どうしても必要な引継ぎについてはあらかじめ当人と相談の上で出社日を決めて出勤してもらい、使いきれなかった有休を退職時に「買い取る」などの方法があります。

(税務署が勧める方法ですね(笑)、しかし、年次有給休暇とは、疲労回復、個人的家庭的な目的のための時間または日数であります。

時間をカネで解決というのはこれ如何に?)

 

 

「ウチには有休はないから」と拒否して下手に感情的に対立しないほうが無難でしょうねぇ。

 

就業規則には、「引継ぎを完了しない者に対し、正当な退職を認めない」と記載しては如何でしょうか?つまり、「退職金は減額の対象にする」ということです。

 

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