労務ぷらんコラム
パワハラ事例 東芝府中事件
神戸の社労士:井上です。
今回は、かの有名な東芝府中事件を見てみましょう!
原告:X Y社の従業員
被告:Y社
Z製造長
1:
Xは、昭和50年4月入社し、昭和52年7月の技能五輪全国大会3位の生成を納めた。この時、Xを指導したのが、Z。
2:
Xが、社内の従業員と溶け込んでいないと思え、昭和56年4月、直属の上司になったことを期に、ZがXを指導するようになる。
3:
昭和56年4月3日、Xが作業長の指示に従わなかったため火傷をしたため、
Zは反省書を提出させた。
度々作業手順を間違えるなど、トラブルを起こしたため8回の反省書ないし文書の提出を求めた。
4:
6月26日、ZはXを呼びだし、有給休暇の申請をする際に、Xが製缶課の書記にZに対する伝言を依頼したことを咎め、直接承諾を得るように指示して、始末書を提出させたところ、Zが拒否。
7月になっても、Zは8回以上呼び出し、始末書の提出を求めた。
5:
7月8日、Xが作業終了10分前に作業を終え、後片付けをし始めたのをZが目撃。
後片づけは5分でできるはずと、再現させようとしたが、Xは拒否!
6:
Xは、同日、病院に行き心因反応と診断。
7:
XはY社に不法行為に基づく、損害賠償を請求。
Zの行為は、指揮監督の権限を逸脱しているのだろうか?
判決:Y・Zは慰謝料15万円の支払いを命じた。
裁判所は、上司の一般的な指導監督に従うかは、労働者個人の自由を有すると解され、
指導監督の権限が裁量権の逸脱にあたるかを判断した。
つまり、4の有給の件で、軽微な誤りに始末書を数度にわたり提出を強制させるなどが含まれるであろう。