労務ぷらんコラム

【労務管理】転籍は拒否しても大丈夫?

2019.03.12

神戸の社労士、マサ井上です!

移籍型出向、つまり転籍ですが、栄転もあれば、左遷もあるでしょう。

さて!その転籍ですが、

 

転籍は拒否できるか?(バアァァン)


子会社に転籍をさせたい従業員がいた場合、会社は無条件に社員に対し、

転籍命令を出せるでしょうか?

従業員が拒否した場合にはどうなるでしょうか?


・転籍とは
転籍とは、従来雇用関係のあった会社との労働契約を終了し

新たなに別の会社と労働契約を結びなおすことが同時に行われることを言います。

 

・転籍は本人の同意が必要

「転籍」を命じる場合、法律上は労働者の同意(承諾)なくして別の会社の指揮命令下
のもと働かせることは出来ない、とされています。(根拠:民法625条)


就業規則、労働契約等で「転籍」に関する規定があったとしても、本人の個別の同意がない限り転籍をさせることが出来ないというのが、裁判所の見解です。


転籍には、労働者個別の同意が必要というのが大原則となります。


これはあくまでも、転籍は移転先との労働契約の成立を前提とするため、

元の会社が規則等により定めていても、労働者は元の会社の規則で制限することは出来ず、

元の会社規則等を根拠に転籍を命じることができない、という理論になります。

 

・労働者本人の同意が得られない場合は?

 
上記はあくまでも原則論になります。原則としては個別の同意が必要となりますが、

以下の条件を満たす場合には個別の同意を必要としない、とされています。


① 親会社の入社案内に子会社が勤務地の1つして明示され、

 
② 採用面接時に転籍があり得る旨の説明、労働者がそれに同意、

 
③ 更に転籍によって労働条件が不利益にならず

 
④ 転籍といっても、実質的には親会社の一部門として扱われており、永年転籍も配転と同様に扱われてきた

 
上記要件を全て満たす場合には、個別の同意なく、転籍を命ずることが出来ると過去に認められた判例があります。

グループ会社であり、グループ内における雇用調整のための転籍が慣習的に定着している場合には、例外的に認められるケース場合があります。

ただし、この場合でも、転籍後の労働条件の保障は特に重要な要素となりますので、注意が必要です。

・まとめ

「転籍」を命令する場合、原則としては労働者の同意が必要不可欠です。

同意が得られないまま、勝手に転籍をさせることは出来ません。


例外的に同意を必要としない場合もありますが、認められる余地は非常に小さいです。


実際に「転籍」命令の同意を得られなかった場合には、従業員との労働条件の擦り合わせをし、

同意をもらう方向性に話し合いをする、

もしくは出向や配転など別形態での人事異動を模索することになるでしょう。

 

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