労務ぷらんコラム
進撃の社労士 11(時間単位の有給休暇)
進撃の社労士こと、神戸の井上です。
労働基準法で、年次有給休暇の最低ラインが決められていますが、
どの程度取得していますか?
取得率を挙げたい企業様は、時間であたえるのは如何でしょうか?
まず、年次有給休暇(以下、「年休」)は「日」を単位に与えるの が原則ですね。
昔は「1労働日」未満に分割して与えることは不可とされていましたが、昭和63年の厚労省通達で「年休は請求に応じて半日単位で与えてもよい。」 とされました。
更に、平成22年5月施行の改正労働基準法では「時間単位年休」が可能になりました。
ただし、このような 1 日未満に分割した年休制度を整えることは会社の義務ではありません。
会社は「通院したいので2時間だけ有給休暇を取りたい」と申し出があった場合でも断ることもできます。
とはいうものの、時間単位で有給休暇を取りたいという社員の希望が実際にはあるでしょう。
時間単位年休を導入する上で留意すべき点は、
①労使協定の締結が必要(届出は不要)、
②時間単位年休は「年間 5 日を上限とする」、 という 2点です。
(前述の「半日」年休には法律上、労使協定締結の必要性や取得回数の上限等はありません)
1、労使協定について:
労使協定で定めるべきことは以下の通りです。
1.対象労働者の範囲
2.時間単位で与えることができる年休の日数(年間5 日 以内に限る)
3.年休1 日に相当する時間数
4.取得単位となる時間(1 時間単位以外の場合)
「対象労働者の範囲」では例えば、事務系社員だけを対象とし、工場ラインの労働者を除く場合はその旨を協定します。
「年休 1 日に相当する時間については、
その労働者の「1 日の所定労働時間を下回ることは許されません」から、
例えば1 日の労働時間が 7.5 時間の会社の場合には、端数は切り上げて「8 時間」 とするのがよいでしょう。
取得の単位を1 時間以外にする場合(例えば「2 時間」等)には、その時間単位を協定します。
「時間単位年休」の普及率はまだ高いとはいえません が、
社員にとっては利用するメリットが大きい制度と考えられるので皆様の会社でも導入を検討してみるとよいでしょう。
労務プランニング オフィスINOUE