労務ぷらんコラム
就業規則社労士の奇妙なコラム17 (なぜ通勤手当を支払うの?)
神戸の就業規則社労士:井上です。
通勤手当は、通勤定期代などの実費を支給するものとして定着していますが、
実は法律上必ず払わなければならないものではありません。
海外では、通勤手当は無いのが当たり前です。
ですので、ドイツやフランスでは、会社の近くに住むことや、あいのりが当たり前になっているようです。
日本のように2時間通勤と言うのは、海外からは驚かれるかもしれません。
また、通勤時間の短縮やあいのりはエコ文化ともいえるでしょう。
さて、日本の話に戻り、通勤手当を支給するかどうか、上限をいくらにするかについては会社が自由に決めることができます。
ただし、ほとんどの企業で支給されている手当であるため、
求人の際のアピール度などを考えると一定額の支給をしたほうがよいでしょう。
通勤手当の支給額については以下のポイントに注意して決めてください。
ポイント1 通勤手段の限定
会社が通勤手段を限定することは可能です。
自家用車やバイク通勤を駐車場事情や安全面の観点から禁止する必要があるケースもあるでしょう。
自社の状況に合わせて通勤手段を検討してください。
交通費支給の無駄を防ぐためには通勤ルートの申請をさせることも有効です。
無駄に遠回りとなる通勤方法の申請があった場合には、経済的なルートを選ぶように指導してください。
「電車通勤」と会社に申請して定期代をもらっていながら節約のため「自転車通勤」をしているなど、会社が許可しない通勤手段をとっている場合は「経費を架空に請求している」点などで問題が出てきます。
適正なルールを定めて運用しましょう。
ポイント2 所得税法上の非課税限度基準と上限設定
「通勤手当の上限をいくらにするか」は、言い換えると「どのくらい遠くからの通勤を想定するか」ということです。
求人募集の範囲、現在の従業員の通勤範囲などを見ながら適切な上限を設定してください。
通勤手当の上限設定のもうひとつの基準として、「所得税法上の非課税限度基準」を参考にするケースも多いです。
ポイント3 交通事故のリスク対策
通勤途中の交通事故について、会社は一定の責任を負うことになります。
マイカー通勤途中で重大な事故を起こした時には労災保険や自賠責保険だけでは充分でないため、
一定基準以上の自動車任意保険の加入義務付けるなどのルールを作るとよいでしょう。
ネットを見ると、通勤手当は会社が交通機関に支払っているおかしな文化だ!と言う意見もありました。
非課税交通費など、通勤手当を国が後押ししているとも言えますね。
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