労務ぷらんコラム
同一労働同一賃金の最高裁判決
神戸の社労士、井上です。
10/13に同一労働同一賃金の最高裁判決が出ました。
大阪医科薬科大事件と東京メトロコマース事件の2つです。
ともに、労働者側の逆転敗訴となり、高裁の判決がひっくり返ったわけです。
そこで、ざっくりと判決を読み、感想を述べたいと思います。
論点は、労働契約法第20条にいう「職務内容に違いないのに、労働条件に差異を設けているのか」ということになります。
なお、労働契約法第20条は、令和2年4月より、
「短時間労働者及び有期雇用契約労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の
第8条に移行しております。
第8条の内容はこんな感じ、
第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
10/13の最高裁判決では、両事件とも、「職務の内容」は違うということ、
それと併せて、両被告とも「正社員転換試験」があり、
それを受ければ、賞与・退職金のある正社員になれたではないか。
しかも、その試験の合格率は過半数を超えており、難関な試験ではないと判断されたようです。
社労士の自分としては、「職務の内容の違い」より、「正社員転換試験」の有無が興味深いです。
「正社員転換試験があれば、有期契約社員に賞与や退職金を払わなくても良いのか?」というと、直ちにそう言う訳ではないです。
「転勤や配置換え」「責任の程度」といった「職務の内容」があることが前提と思われますので、
「正社員転換試験の有無」だけでは、判断しないでください。
さて、安倍内閣がゴリ押ししてきた「同一労働同一賃金」ですが、一時のように何が何でもと言う訳でなく、
深化してきたいように思います。
今年やっておきたいことは、長澤運輸事件やハマキョウレックス事件のように、名前だけで説明のつかない手当の改善は、きっちりやっておきたいところです。
賞与、昇給、退職金については、これからスタートと思います。
本日、10/15は日本郵便事件の最高裁判決が出ます。
どうなのか?気になりますぞ!
明日の労務管理を考えよう!
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