労務ぷらんコラム

【退職】記事一覧

ゼロから始める労務管理制度 26(未払賃金立替制度)

2018.06.13

神戸の社労士:マサ井上です!

未払い賃金の立替制度をご存じですか?

未払賃金立替払い制度は、企業が倒産して賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、

その未払賃金の一定範囲について国(労働者健康安全機構)が事業主に代わって払うものを言います。

「賃金の支払の確保等に関する法律」に定められています。

 

立て替え払いの要件は次の通りです。

<事業主(会社)の要件>

(1)労災保険の適用事業の事業主で、1年以上事業を実施していること

(2)倒産したこと

[1] 法律上の倒産(破産手続開始決定、再生手続開始決定、更生手続開始決定等)

[2] 事実上の倒産(労働基準監督署長の認定)

などがあります。

 

<労働者の要件>

(1)破産手続開始の申立等(事実上の倒産の認定申請)の

6か月前の日から2年の間に退職したこと

(2)未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等の証明を

受けること(事実上の倒産の場合には、労働基準監督署長の確認が必要)

(3)破産手続開始決定等(事実上の倒産の認定)の日から2年以内に立替払請

求を行うこと

などがあります。

 

対象となる賃金と金額:

立替払の対象となる賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金です。

(定期給与と退職金(ボーナスは含まれません)。

ただし、総額2万円未満のときは対象外となります。)

立替払の額は年齢によって変わり、未払賃金総額の8割(限度あり)が支払われます。

 

 

 

退職日における年齢:45歳以上

未払賃金総額の限度額:370万円

立替払の上限額:370万円×0.8=  296万円

 

退職日における年齢:30歳以上45歳未満

未払賃金総額の限度額:220万円

立替払の上限額:220万円×0.8=  176万円

 

退職日における年齢:30歳未満

未払賃金総額の限度額:110万円

立替払の上限額:110万円×0.8=   88万円

 

となっています。

 

窓口は労働基準監督署です。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超84(雇用保険の特定受給資格者とは)

2017.09.14

神戸の社労士:マサ井上です!

「退職する従業員が解雇にして欲しい」と言っているという話をよく聞きます。

これは、何のことでしょうか?

例えば、

雇用保険の被保険者が退職した時、次の職を見つけるまでのつなぎとして「基本手当」、

いわゆる失業保険が給付されます。

この基本手当は、失業者の状況によって給付の日数に差がつけられています。

別の言い方をすると、手厚い保護が必要な人に対して多くの給付を、そうでない人に少ない給付をするように設計されています。

中でも、辞めた理由が「本人の責任とはいえず保護が必要な」人のことを「特定受給資格者」として手厚い保護をすることになっています。

特定受給資格者の種類は以下の通りです。

なお、以下の退職理由でない者に対して事実と違う理由を書いて特定受給資格者とする行為は違法であり、

会社がその違法行為に関与した場合は手当の返還やペナルティーの罰金の適用もあり得ます。

 

「倒産」等により離職した者

(1) 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者

(2) 事業所において大量雇用変動の場合 (1か月に30人以上の離職を予定) の届出が されたため離職した者(※)及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が 離職したため離職した者

(3) 事業所の廃止 (事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

(4) 事業所の移転により、 通勤することが困難となったため離職した者

 

「解雇」等により離職した者

(1) 解雇 (自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

(2) 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

(3) 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者

(4) 賃金が、 当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した (又は低下することとなった) ため離職した者 (当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

(5) 離職の直前6か月間のうちに

[1]いずれか連続する3か月で45時間、

[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。

事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

(6) 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者

(7) 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行って いないため離職した者

(8) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上 引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないことと なったことにより離職した者

(9) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(8)に該当する場合を除く。)

(10) 上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者及び事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかったことにより離職した者

(11) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)

(12) 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

(13) 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

 

これらが当てはまりますが、「解雇にして欲しい」と言って、次の就職先の面接で何と説明するのでしょうか?

「重大な犯罪を犯し、解雇になりました」というのか、正直に「お願いしました」というのでしょうか?

どちらも、雇いたくない人であることに気が付かないのか?と疑問に思いますね。

 

二宮尊徳ではありませんが、「勤労・勤勉・誠実」が日本人の働き方に対する精神です。

 

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超82(再就職手当が)

2017.09.11

神戸の社労士:マサ井上です!

雇用保険に一定期間以上加入していた者がハローワークで失業の認定を受けた時、

その人は基本手当、いわゆる「失業保険」を受給する権利があります。

この基本手当は、辞める前の給与を基準に単価が決まり、90日分(離職状況によっては日数が異なる)支給されますが、

その権利を使い切る前に再就職した場合に、ご褒美として一時金が支給されます。

その一時金を「再就職手当」と言います。

 

再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合

(雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など)に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。

支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額((注意3) 一定の上限あり)となります。

給付率については以下のとおりとなります。

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、所定給付日数の支給残日数×70%(注意1)×基本手当日額((注意3)一定の上限あり)。

・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、所定給付日数の支給残日数×60%(注意2)×基本手当日額((注意3)一定の上限あり)。

タイミングによっては「ハローワークなどを経由した再就職」出ないと対象にならないことがあります。

 

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助成金社労士の奇妙なコラム 超79(雇用保険基本手当日額が変わるって)

2017.08.31

神戸の社労士:マサ井上です!

雇用保険の基本手当(いわゆる「失業保険」)の額が変わるって!

 

雇用保険の被保険者が退職した場合、一定の条件を満たせば基本手当(いわゆる失業保険)を受給することができますね。

この基本手当ですが、辞める直前6ヶ月の給与を平均した額を基に決定するのですが、

世間の給与水準を見ながら毎年8月に改定されるルールになっています。

今回も、平成 29 年 8 月 1 日から賃金日額・基本手当日額が変更となりました。

 

具体的には、賃金日額について年齢ごとに「上限額と下限額」を設定しており、

「毎月勤労統計」の平均定期給与額の 増減により、毎年8月1日にその額を変更します。

今回は、平成 28 年度の平均定期給与額が前年比で約 0.4%増加したことから、上限額・下限額ともに引き上げになります。

これに伴い、基本手当日額の算定基準が変わり、支給額が増額になる場合があります。対象になる方には、平成 29 年8月2日以降の認定日にお返しする受給資格者証に新「基本手当日額」を印字して、お知らせします。

 

 

◆年齢区分に応じた賃金日額・基本手当日額の上限額

賃金日額の上限額(円)

29 歳以下 12,740→13,420

30~44 歳 14,150→14,910

45~59 歳 15,550→16,410

60~64 歳 14,860→15,650

基本手当日額の上限額(円)

29 歳以下 6,370→6,710(+340)

30~44 歳 7,075→7,455(+380)

45~59 歳 7,775→8,205(+430)

60~64 歳 6,687→7,042(+355)

 

増えてよかった?

それより、失業しない方が大事でしょうか?

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助成金社労士の奇妙なコラム 超31(退職後の健康保険は?)

2017.02.09

神戸の社労士:井上です!

退職後の健康保険について、説明します。

会社を退職したとき、健康保険については、

1.任意継続健康保険、

2.国民健康保険、

3.ご家族の健康保険(被扶養者)

のいずれかに加入する手続きをする必要があります。

任意継続とは、もともと加入していた健康保険制度に退職後も加入することを指します。

任意継続健康保険の要件

任意継続をするためには以下の要件があります。

(1)資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上の被保険者期間」があること。

(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)

特に期限については十分に注意が必要です。

保険料

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、扶養家族がいたとしても扶養家族の方の保険料はかかりません。

国民健康保険の保険料(税)は、前年の所得、世帯人数などに応じて決定されますので、前年の所得が多い、世帯人数が多いなどの場合には任意継続を選択したほうが保険料を抑えることができる可能性があります。

なお、任意継続の保険料は全額を自分が負担します(在職時には半額会社負担)が、標準報酬月額に上限が定められています(平成27年度は28万円となります)。

例えば標準報酬が98万円の方が退職した場合でも、任意継続の保険料は28万円を基準に決められます。

雇用保険で失業の認定を受けると、国民健康保険料(税)が安くなりことがありますので、

注意してください。

 

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進撃の社労士 5(無断欠勤者を解雇する)

2015.11.09

進撃の社労士こと、神戸の井上です。

 

昭和の半ばの話!

ある男性「昔は、無断で2・3日休んで、『すんません!』と言うて、出勤しよったもんやで!」

井上「ええ、ですなぁ」

ある男性「そういう時代やってん。今やったら目くじら立てて……」

 

いやぁ、昭和って良い時代ですよね(*´▽`*)

 

今なら、目くじらものです。

「社会人としての責任が……」とか、言われそうですね。

それは、マンパワーからマシンに頼る時代になり、1人ぐらいいなくてもOKでなくなってきたことによるのではないでしょうか?

1人当たりの業務責任量は、増えております。

 

さて、平成の世の中では、無断欠勤者は問題で、長期になると解雇も考えなくてはいけません。

では、無断欠勤を続けており連絡も取れない社員について、会社としてはすぐにその人を解雇したいところではありますが、それは可能なのでしょうか?

 

解雇とは、法律では「合理性のない解雇は、権利の濫用になるので無効になる」とされ、

就業規則に解雇に該当する例を定めている場合でも、すぐに解雇が認められるわけではありません。

また会社が社員を解雇する場合、

1:少なくとも30日以上前に解雇の予告をするか

2:30日分以上の平均賃金である解雇予告手当を支払う必要があります。

 

では、無断欠勤が「解雇するのに合理性があるか」というと、

「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」は、

解雇予告除外認定を受ける基準の一つとされています。

この「解雇予告除外認定」とは、「労働者側が悪いから、解雇予告をしなくてもよい」という認定のことです。

つまり、2週間以上の無断欠勤は解雇にそれなりの合理性があるとみられます

 

しかし、2週間以上無断欠勤が続いているからといって、いきなり解雇をすると、

手続きとして不当であると相手に主張される可能性もあります。

揉め事を避けるため、「一定期日までに連絡が取れない場合には、就業規則の定めに基づいて解雇手続きを行う」という旨の通知をした上で、解雇の手続きを進めるべきでしょう。

電話などで連絡がとれない場合には内容証明郵便等で上記内容を送付しておくとよいでしょう。

 

入社時に実家など他の連絡先が分かる場合、そちらにも連絡を試みて、

あとから「解雇の連絡を受け取っていない」など主張されないように用意してください。

 

 

実家など他の連絡先を確保するためにも、

入社の際は、身元保証人を求めると良いデス!

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就業規則社労士の奇妙なコラム30 (退職勧奨)

2015.08.07

神戸の就業規則社労士の井上です。

 

退職勧奨をする会社から相談を受けましたので、ポイント整理します!

 

退職勧奨とは、会社側が労働者に退職の誘引をすることを指します。

つまり、「退職をしてはどうかと提案する行為」をいい、

相手の意思に関わらず一方的に雇用契約を解消する解雇とは異なった取り扱いをします。

 

日本における厳しい解雇規制とのバランスを取るために、

退職勧奨は裁判などの場では比較的広く認められる傾向があります。

裁判でも、退職勧奨行為自体が違法とされるケースは多くありません。

例えば、退職を拒否しているにもかかわらず10数回以上に及びしつこく退職を迫る、

または退職勧奨を受け入れるまでは軟禁状態で攻め続けるなどの

極端な場合にのみ違法性が認められています。

 

 

では、退職を提案する理由としてはどのようなものがあるのかというと、

極端な言い方をすれば「労働者側が条件を呑むのであればどんな理由でもいい」と言えます。

つまり交渉の仕方次第でトラブルを防ぎ穏便に退職につなげることも可能です。

 

実際に退職勧奨をする理由としては

(1)経営状況の悪化による人員整理

(2)本人の能力不足

(3)同僚や取引先からの苦情などが考えられますが、

 

会社側としてはまずそれらの理由を客観的に説明できる資料を持って交渉に臨む必要があります。

客観的な事実に基づいて会社が退職を提案していることを率直に伝え、

相手方の立場や生活環境も考慮しつつ真摯に説得を試みてください。

通常、退職の提案をするからにはいくらかの見返りや当人にとっての

メリットを同時に提示して交渉するほうがうまくいくことが多いでしょうから、

退職金や賞与の割り増しなどの条件提示を検討する必要もあります。

 

とにかく、退職勧奨は感情論による対立を出来る限り防ぎ、

あくまで大人同士の交渉としてドライに行うことがトラブル予防のためには大切です。

 

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就業規則社労士の奇妙なコラム27 (行方不明者の退職の仕方)

2015.07.07

神戸の就業規則社労士:井上です。

 

10年ぐらい前でしょうかねぇ~

ある企業の総務担当者と話しておりました。

 

「突然、出勤してこなくなって、連絡してもつながらない。

家に行っても誰もいない」

そんな社員が、しばしばいるそうです。

若くて、入社して2・3年ぐらいの人だそうです。

 

会社としては!

突然連絡が取れなくなり、自宅や実家に連絡しても行方がわからなくなった社員の多くは

もう働くつもりはないでしょうから

ほとんどの場合、辞めてもらうのが妥当でしょう。

 

辞めてもらう場合は

①解雇(会社からの一方的な雇用契約打ち切り)という取扱いと

②就労の意思がないとみなして「自己都合退職」としての取り扱い

 

の2パターンがあります。

 

【解雇として取り扱う場合】

解雇にする場合、就業規則の解雇事由に

「○日以上無断欠勤が続き、連絡が取れない場合は解雇として取り扱う」などの取り決めをしていなければなりません。

通常14日以上の無断欠勤は解雇事由として妥当と言われています。

ここで問題になってくるのは、「どうやって相手に解雇を伝えるか」です。

解雇とは会社側からの一方的な契約打ち切りを「通告」することですから、

会社の解雇の意思が相手に到達しなければ効力を発揮しません

 

 

現実的な順序としては、

①本人に電話やメールなど通常の連絡を試みる

②ダメなら実家や保証人などに連絡をする

③それでもだめなら

「○○日以内に連絡がなければ解雇として取り扱う」

 という文面を配達が記録される方法で郵送するという流れになるでしょう。

 

簡易裁判所に公示送達という手続きを申し立てて法的に解雇の意思表示を有効にする手段もありますが、面倒ですし費用も掛かるのであまり用いることはないと思われます。

 

 

【自己都合退職として取り扱う場合】

この場合も就業規則に

「○日以上無断欠勤が続き、連絡が取れない場合は就労の意思なしとみなして自己都合退職をしたものと取り扱う」

などの規定をしておくことが前提になります。

 

ただし、「連絡が取れない」だけでは「連絡をとるつもりがない」のか、

「事情があって取れない」のかがわかりませんので、

厳密には自己都合退職として取り扱うことには疑問が残ります。

退職処理をした後で本人がひょっこり現れた場合、退職処理の取り消しをしなければならない場合もあるということを心得ておきましょう。

ただし、ユニフォームを返却している、保険証を返納してきているなど、

状況から考えて辞める意思が見られる場合は自己都合として取り扱ってもよいでしょう。

 

監督署の意見では、

「14日では事件に巻き込まれているケースがあるので、30日は待って欲しい」

と言われたと、その担当者は言っていましたね。

 

まさか拉致?

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就業規則社労士の奇妙なコラム19 (退職前に年次有給休暇を取るのを拒否しても良いのか?)

2015.02.06

神戸の就業規則社労士:井上です。

退職前の社員と言えば、貯まった年次有給休暇をまとめて消費しますよね。

私もしましたよ!エッヘン!

ですが、引継ぎなどあるわけで、やめて欲しいという会社もあるのではないでしょうか?

では、実際、出勤命令はしても良いのでしょうか?

今回は、その辺を考察します。

 

まず、年次有給休暇とは?

 

法定の有給休暇:

労働基準法では、6ヶ月以上、8割以上の出勤率で働いた労働者に対して有給休暇を与えなければならないとされています。

有給休暇の法定付与日数は次の通りです。

有給休暇の法定付与日数は次の通りです。

 

勤続

6ヶ月

1年6ヶ月

2年6ヶ月

3年6ヶ月

4年6ヶ月

5年6ヶ月

6年6ヶ月

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

 

6年6ヶ月以上勤務した社員には毎年20日の有給休暇を与えなければなりません。

有給休暇の請求時効は2年ですから、前の年の未消化分も合わせると最大で40日有給休暇の権利がある社員がいることになります。

有給休暇は退職した後に使うことができないため、辞める社員が余った分を退職前にまとめて取得することがあります。

ところが、会社としては必要な引継ぎをせずに勝手に休まれては困ります。

退職前に有休をまとめて取ることは許されるのでしょうか。

 

退職する社員には時季変更権は使えない:

有給休暇については、社員に「時季指定権=自分の好きなときに取得する権利」があり、

同時に会社に「時季変更権=その時期は会社の運営に支障を来すから別の日に変更する権利」があります。

そのどちらを優先するかはケースバイケースですが、退職する社員に対して

「退職日後に有休をずらしてくれ」と言うことはできません。

 

つまり、退職前にまとめて有休を取ることを会社は拒否できないことになります。


現実的な解決策としては、どうしても必要な引継ぎについてはあらかじめ当人と相談の上で出社日を決めて出勤してもらい、使いきれなかった有休を退職時に「買い取る」などの方法があります。

(税務署が勧める方法ですね(笑)、しかし、年次有給休暇とは、疲労回復、個人的家庭的な目的のための時間または日数であります。

時間をカネで解決というのはこれ如何に?)

 

 

「ウチには有休はないから」と拒否して下手に感情的に対立しないほうが無難でしょうねぇ。

 

就業規則には、「引継ぎを完了しない者に対し、正当な退職を認めない」と記載しては如何でしょうか?つまり、「退職金は減額の対象にする」ということです。

 

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就業規則社労士の奇妙なコラム6 (「高年齢雇用継続給付」を活用する)

2014.12.24

神戸の就業規則社労士:井上です。

 

会社が、定年を迎えた従業員を再雇用する際や、定年で退職した人の再就職を受け入れる際、定年前より賃金額を下げて雇用契約を結ぶ場合がありますね。

そのような時、雇用保険制度から、下がった賃金額に応じた給付を受けられることがあります。

これを「高年齢雇用継続給付」と言いますが、要件を見ていきますと、

 

基本的な要件:

1、雇用保険の被保険者期間が5年以上あること(つまり雇用保険を最低でも5年はかけていること)。

2、60歳以上65歳未満で、なおかつ雇用保険の一般被保険者であること

3、60歳以後の賃金が60歳時点の賃金の75%未満であること

4、育児休業給付金や介護休業給付の支給対象となっていないこと。

 

給付の種類:

高年齢雇用継続給付には、①高年齢雇用継続基本給付金と②高年齢再就職給付金の2種類あります。

 

① 高年齢雇用継続基本給付金

60歳到達後も引き続き嘱託や再雇用などで継続して雇用され、かつ賃金が以前より低下している場合に支給されます。

 

② 高年齢再就職給付金

いったん定年などにより退職し、基本手当(いわゆる失業保険)をもらっている最中に再就職し、

かつ

賃金が60歳以前より低下している場合に支給されます。

 

 

給 付 額:

給付額は①②とも、定年後に支給された賃金額が60歳時点の賃金と比較して61%未満まで下がった場合、

その賃金額の15%が上限となり、賃金額の減り具合に応じて給付額も変動します。

 

定年後の従業員を再雇用する場合、仕事の能力等を考慮すると、

賃金が下がるのはやむをえないでしょう。

 

そのような際に

賃金を下げすぎる事で従業員との対立が起きないよう、もらえる給付を有効活用してくださいね

 

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